【File No.9】決闘

決闘

 

「7.62mmのミニガンで戦闘機と勝負しようってのか」

 

パイロットは薄ら笑いを浮かべ、

地上を走るモントークに照準を定めた。

 

M61 20mmガトリング砲で戦闘機は撃ち落とせても、

M134 7.62mmガトリング砲では、戦闘機の機体を打ち抜くだけの威力はない。

命中しても弾丸が弾き飛ばされる。

その事を熟知しているパイロットは、余裕でモントークの後方に付けた。

 

キャサリンが握るM134の

束ねられた銃身が旋回し

背後のジェット機へと照準を合わせる。

 

ガトリングの回転音が

嫌がうえにも緊張を高ぶらせる。

ヤツが撃つのが先か。

M134が火を噴くのが先か。

 

ハンドルを握るマックス・デニーロの

グローブがじわりと汗でにじむ。

 

その瞬間

打ち出されたロケットのように

バイクが前へと跳ね飛ぶ。

 

「ぐぅっ!」

 

キャサインが放つ

M134の強烈な連射反動が

モントークに急激な加速をあたえ

後ろからの強烈なGを感じたマックスは

反射的に上半身でバイクを押さえ込んだ。

 

1秒にも満たないわずかな間

数百発の銃弾が

ジェット機とバイクの間に火の橋をかけた。

 

機体表面に、

はじかれるはずの銃弾が

蜂の巣のように機体を

ぶち抜いていく。

 

予想外の衝撃に、パイロットは一瞬我を失う。

キャサリンは、冷静に着弾を確認していた。

 

「うひょ~~~ぉ!」

 

マックスはバイクの制御に必死だった。

しかし、その時間はわずか数秒。

一瞬にしてすべての弾薬を撃ちつくす。

 

通常のそれとは異なる、

Bisonが手を施したオリジナルの7.62mm弾丸は

驚異的な発射速度を生み出し

いかんなくその威力を発揮していた。

 

「突っ込んでくるわよ、よけて!」

 

後ろ向きにガトリンク砲を構えているキャサリンがいち早く叫ぶ。

 

「って、もう来てるぜ!」

 

脱出して操縦者を失った機体は、まっすぐに地面へと向かっていた。

 

「ちいっ!」

 

マックスがバイクをホッピングするように瞬時に横方向に逃がす。

路面に激突した機体は大爆発を起こし

マックスとキャサリンを乗せたモントークは、

その至近距離から襲ってきた爆風で

道路脇のガードレールに叩きつけられるように

横へ吹き飛ばされた。

 

「ちょ!」

 

マックスは、ガードレールに足を出し

その足を支点にして

バイクを抱えあげるように回転しながら横方向のGを和らげ

歩道に着地した。

 

バイクが一回転してガードレールを乗り越える間、

キャサリンは振り飛ばされまいと

力の限りマックスの胸に抱きついていた。

(お! キャサリンって結構ふくよかだな)

キャサリンと言えども、やはり女だ! by マックス・デニーロ

 

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※ このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。

ストーリーはフィクションであり

実在する国家・団体・企業・HP・個人等とは一切関係ありません。