【File No.6】Wild-Dancer ダブルステップ

Wild-Dancer ダブルステップ

 

ミサイルを発射した2機のファイティング・ファルコンは

上空に舞い上がり、

大きく旋回して再び攻撃体制に移ろうとしていたが、

パイロットに管制塔から支持が促された。

 

「何の為にFBIに根回して一般車両を取り払ってもらっていると思うんだ?

市民を被害に巻き込むとあとあと厄介な事になる。ミサイルは撃つな!」

 

「了解!」

 

ビルにミサイルを撃ち込んだパイロットが、気まずそうに呟やいた。

(仕方ない、機関砲で始末するか・・・)

 

もう一方の敵、アパッチ戦闘ヘリは

ハマーの車の後方2kmまで迫っていた。

 

敵の動きを監視しているデェイ・ジーが無線を飛ばす。

 

「あと少しでアパッチのM230 30mm自動式機関砲の有効射距離に入るぜぇ~」

 

「・・・にしても、何でヴァイロンとモントークがこっちに突っ込んでくるんだ?」

 

不思議顔でデェイ・ジーが、運転するハマーに無線で問いかけた。

 

本来このハマーの車の今デェイ・ジーがスタンバってる指令室の席は、

クレージー・ドッグの指定席である。

 

しかし、今日は訓練も兼ねてデェイ・ジーがその役を任されている訳で、

デェイ・ジーは、マックスやキャサリンの戦いっぷりを知らない。

 

「まぁ、見てな。先輩達の腕前をな」

 

ハマーが笑顔で返答した。

 

マックスやキャサリン、ロンもそうだが、

Justiceの特殊部隊あがりのツワモノ達は、

その場の状況から即興的に独創性に飛んだ変幻自在のプレイを生み出す。

 

そういったプレイが出来なものはJusticeの特殊部隊では容易には生き残れない。

 

個々人の持つ戦闘能力、

それを極限まで鍛え上げるのがJusticeに於ける特殊部隊の役割でもある。

 

前方からバックで突っ込んでくるキャサリンのヴァイロンと、

向きを変えて一緒に突っ込んで来るマックスのモントーク。

 

運転する二人の顔がニヤリと微笑んでアイ・コンタクトを交わす。

 

2台が突っ込む先にはスピード・キングがハンドルを握るアドバンのマイバッハが突き進んでくる。

 

マックスのモントークが

一瞬減速した次の瞬間、

すれ違う形で

横に並んだヴァイロンとマイバッハが

タイヤを唸らせ2台同時にスピンターンした。

 

2台のモンスターマシンのダブル・スピンターン。

 

明るい華やかな色彩のヴァイロン と

不気味な程に逞しいブラックボディーのマイバッハ 。

 

まるで男女のスケーターが氷上で

華麗にツインスピンを演じているように見えた。

 

流れる景色の中でキャサリンは、

マイバッハのステアリングを握るスピード・キングと目が合った時

ニッコリ笑みを飛ばし

キングもしかめ笑顔を返す。

 

ゆっくりとした流れの中で方向を転換する間

キャサリンはギヤをニュートラルに入れ

アクセルを吹かしあげ

エンジンの回転数をトルクバンドまで引き上げ

後方より迫り来るアパッチ戦闘ヘリに

フロントマスクが向き合わせた瞬間、

ギヤを繋いでヴァイロンを一気に加速させていく。

 

 

フロントガラスから突き出た

マシンガンが目に飛び込んだ

アパッチヘリの操縦者は、

その加速して向かってくるヴァイロンに

ヘリコクピット下に武装したM230 30mm自動式機関砲を照準せんが為に

必死で操縦桿を操作する。

 

時速300kmを超える猛スピードで突っ込んでくる標的を

戦闘ヘリのそれが容易に捉えられる訳もなく

あっという間にヴァイロンは、アパッチの下を駆け抜けていった。

 

そのヴァイロンの姿を追うように

機首を旋回させ

逃げさる獲物に照準を合わようとした時、

ヴァイロンがサイドブレーキでターンして止まった。

 

キャサリンがヘリのパイロットに向かって

ニッコリ微笑んで投げキッスを送ると

パイロットの身に衝撃が走った。

 

ヘリの後部で爆発が起き

機体は完全に操作不能に陥った。

 

パイロットは何が自身の機体に起きたのか知る間もなく

緊急脱出するしか術はなかった。

 

脱出レバーを引き、

上空に舞い上がったパイロットは、

そこで初めて事態の成り行きを悟りえた。

 

前方を走っていたハマーのFORDのルーフにBMW R1200C モントークが乗っかり、

両足を開いてシートから立ち上がり銃を構えたマックスの姿がそこにあった。

 

マックスは、

スピンターンで後ろ向きで突っ込んで来るマイバッハのリヤ傾斜部をジャンプ台にして、

 

 

その後ろを走っていたハマーのFORDのルーフに飛び乗っていた。

 

 

左手で支えるフォアブリップも

右手で握っている独特の形状をしたグリップも

真っ黒のそれは、

ライフルスコープが取り付けられライフル射撃のように

両腕で狙い撃つスタイルの「カスタム・Bison」

リボルト・カイザー、マックス・デニーロモデル。

 

 

立てにダブルで並んだステンレスバレルの

下段バレルから撃ち出されたロケットランチャーが

アパッチの交尾を破壊していた。

 

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※ このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。

ストーリーはフィクションであり

実在する国家・団体・企業・HP・個人等とは一切関係ありません。