【File No.4】Wild-Dancer ツイスト

Wild-Dancer ツイスト

 

1930年代、

マンハッタン島には

狭い土地を有効に活用する為、

高層ビルが次々と建てられた。

 

キングコングがよじ登ったエンパイアステートビルは、

102階(381m)

クライスラービルは、77階(318m)

ウォール街40番地ビルは、71階(282m)

高層建築のラッシュによって出現した天に向かって聳え立つ超高層ビル街は、

スカイスクレーパー(摩天楼)と呼ばれ破竹の勢いで発展するアメリカを象徴していた。

 

 

ハマーのFORD-F650の中で

ヘッドフォンから流れてくる激しいロック・サウンドに頭を振って

体でリズムを打っているデェイ・ジーが、

上空より迫り来る敵をレーダー・スクリーンで確認した。

 

「アパッチとファイティング・ファルコンのお出ましだぁ~」

 

 

アパッチ戦闘ヘリAH-64が一機、

 

 

ファイティング・ファルコン戦闘機F-16が2機、

ブロード・ウェイ上空に迫りつつあった。

 

アパッチは陸軍戦闘ヘリ、

ファイティング・ファルコンは空軍戦闘機、

このヘリと戦闘機が意味するもの。

 

それは陸軍も空軍も「ある機関」に絡んでいるという事、

そしてFBIも・・・

 

「やはり上空から来たか・・・」

 

「なによ、戦闘機って・・・そこまでやる?」

 

キャサリンが呆れ顔で無線を通してマックスに話しかける。

 

「確実に是が非でも始末しておきたいんだろ」

 

「いいわ、お相手してあげましょう。 マックス、あれの用意しておいて」

 

「了解」

 

キャサリンとマックスが無線でやり取りしてる間にも、

音速で迫ってきた2機のファイティング・ファルコンが

高層ビルの谷間に飛び込んで来た。

 

ブロード・ウェイを走るキャサリンのヴェイロンの後方より

急降下してきた一機目のF-16ファイティング・ファルコンが

ヴェイロンをロックオンした。

 

「ヴェイロンが、ロックオンされたぞ!」

 

デェイ・ジーが叫ぶ。

 

キャサリンは一人隊列から外れるように

隣の車線にヴェイロンを車線変更させ一気に加速した。

 

ヴェイロン搭載の4基のターボチャージャーが

ジェット機のような唸り声を上げ

搾り出された1000馬力が

ヴェイロンを0-100km/h 2.5秒で

弾丸のように加速させていく。

 

ヴェイロンの加速と同時に

F-16に装備されたスパローミサイルが、

ジェット機から分かれ

地を這うように

マッハ3の音速で飛来する。

 

 

後方のミサイル発射熱源を感知した

ヴァイロン搭載装置の警報が叫ぶ。

 

「10km後方よりミサイル発射確認!」

 

キャサリンは、発射警報と同時にリズムを刻む。

(ワン・トゥ・スリー!)

のタイミングで一瞬アクセルを抜いて

クイッキーなステアリングをあてると

高速加速していたヴェイロンは

片輪を浮かせ横転仕掛ける。

 

再びテクニカルに

ステアリングを刻みながら

アクセルを思いっきり踏み込み

横転寸前のヴェイロンを

パワーとテクニックで

強引にねじ伏せる。

 

4輪駆動のヴェイロンは、

運転席側の前後輪の2駆の

ワイドタイヤの側面で路面を捉え、

ホイールのリムを完全に路面に干渉させ

アスファルトを抉りながら

車体を60度の傾斜を保ったまま

華麗な片輪走行で後方ミサイルを交わす。

 

ヴェイロンの跳ね上がった

左車体の下を突きぬけたスパローミサイルは

遥か前方に乗り捨てられた大型トラックの荷台に着弾し

爆発音が大地を揺るがし巨大な火の玉が膨れ上がった。

 

F-16戦闘機はミサイル発射と同時に上空へ舞い上がって行ったが、

後を追うように高層ビルの谷間に飛び込んで来た2機目のF-16が

4輪走行に戻ったヴェイロンを再びロックオンする。

 

「器用なマネをするじゃないか。しかし、これは交わしようが無いだろ」

 

パイロットは、ハンティングを楽しむかのような笑いを浮かべ、

両翼に装備した2発のミサイルを同時に発射させた。

 

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※ このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。

ストーリーはフィクションであり

実在する国家・団体・企業・HP・個人等とは一切関係ありません。