【File No.8】引用

引用

 

世界は流動的で、常に変化し続けている。

 

しかし、変化の中に「安定」がなければ、

人は継続的な活動を行いがたい。

 

かつて、安定した社会を誰よりも求めたのは、

大商人たちであった。

 

彼らは多額の資本を有するがゆえに、

安定した社会でこそ、危険を考慮する必要もなく、

多額の収益を上げることができるのだから。

 

そしてそれは、現代であっても変わりはない。

 

こうして国、民族、宗教を問わず、安定して商業活動に

専念することを望んだ者たちが、手をとりあって生まれた

組織が、後に「バランス・オブ・チェンジ」と呼ばれるようになる。

 

彼らは安定を求めた。

 

それでも、世界は変化し続ける。

 

彼らは現実から目を逸らすことなく、変化し続ける

世界を正確に認識していた。

 

それゆえに、恒久的な安定ではなく、変化の中での安定を求めた。

 

その結果、突出した者が存在しない世界、均衡した世界を望むに至った。

彼らの考え方は、まさに彼らの名称に反映されている。

 

そこに属するものに、国籍や言語、民族や宗教といった壁はない。

 

彼らはただ、動き続ける世界の安定を求める。

彼らは世界の安定を脅かす、均衡をゆるがす者を憎む。

 

彼らの唯一の理念、均衡した世界への欲求は、

平和と安定した世界を守ることに闘志を燃やす、

各国の特殊部隊や警察に所属する者の中でも、

特に正義感の強い者たちから共感を得た。

 

自らが愛する世界を守るために

自らが生きる世界を守るために

もともとが大商人の集まりから始まった、

同業者組合的な組織だけに、

バランス・オブ・チェンジの活動資金は潤沢である。

 

彼らは世の中に存在する三つの力のうち、カネと知恵を既に手にしていた。

そして、彼らは自らの理念を実行に移すために、残る一つの力である武力を求めた。

 

そして、自らが所属する組織に満足のできない、

正義感にあふれる有能な人材たちも、

バランス・オブ・チェンジのもとへ集結させた。

(引用文:ビヨンド・ゲイザー)

 

 

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※ このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。

ストーリーはフィクションであり

実在する国家・団体・企業・HP・個人等とは一切関係ありません。