【File No.3】ニコラからのメール

ニコラからのメール

 

組み立て作業をしていると、

パソコン・デスクのスピーカーからメール着信を告げるベルが鳴った。

クリックして開いて見ると、それはドイツに滞在中のニコラからのメールだった。

 

 

彼はイタリア人でフルネームをニコラ・ナニーニという。

ケイクやロン同様あの機関の人間なのだが、

彼らとは異質の経歴の持ち主で、

その機関に入る前は医者であり精神心理学のエキスパートでもあった。

 

ドイツには世界的有名なハッカーズ・グループ

「カオス・コンピューター・クラブ(CCC)」が存在し、

その設立者の一人でもあった伝説のドイツ人ハッカー、

故バウ・ホラントとも交友が深かったニコラもまた

ハッカーとしてドイツで活動している。

 

日本人はハッカーと聞くと悪意を持った人物と思いがちだが、

それはマスコミがハッカーとクラッカーを混同して報じた結果、

クラッカーのことをハッカーと呼ぶことが定着した為であり、

本来ハッカーとはプログラムを愛し、熱中する人物を指す。

また、すぐれたプログラミング技術を発揮し、

周囲から認められることによって与えられる尊称でもある。

 

ニコラと私は良くメールのやり取りをするのだが、

医学、科学、宗教、哲学と話の内容は様々で

今は「環境ホルモン」について意見を交わしている。

ニコラが今回のメールで紹介してくれた参考サイトは竹内浩昭理学博士が書いた論文だった。

 

コーヒーを飲みながらそれに目を通していた私だったが、

ある箇所まで読み下ると画面スクロールの手がピタリと止まった。

そこには、ハツカネズミによる実験報告が詳しく書かれていた。

 

胎児期のホルモン環境が違っていれば、

生後にまったく同じ量のホルモンを与えてもその反応性が異なり、

ある個体(例えば胎児期にアンドロゲンにさらされていた個体)では

異常に激しい攻撃性や性行動が現れるが、

別の個体(例えば胎児期にエストロゲンにさらされていた個体)では

ほとんど何の変化も現れないという現象が生じる。

成体の行動や性格の個体差は、生後の生育環境より、

むしろ胎児期のホルモン環境に起因する場合が少なくないのである

引用サイト 「環境ホルモンと脳・神経系」

引用サイト 「環境ホルモンと脳・神経系」

 

「これは、、、」

 

ここに書かれてある内容が気になって仕方なかった私は

ニコラに直接意見を聞こうと思いメッセで彼を呼び出した。

 

「ニコラ、これはホルモンを操作すれば攻撃的兵士すら出来てしまうということじゃ・・・」

 

「流石鋭いですねBisonさん。その通りですよ。

既にそういった人体実験を極秘に進めている機関がアメリカにはあるんですよ」

 

「人体実験を・・・どこで?」

 

「感の鋭いBisonさん、当ててみて下さい^^」

 

「エリア51ってとこかな?」

 

「さてはロンから聞きましたね?」

 

「いや、あいつこの前こっちに来たが、そんな話しは何もしてなかったぞ」

 

「そうなんですか。ロンは今そのエリア51に潜伏してますよ。

あいつ馬鹿だから内容的な事を詳しく説明できないから、

言わなかったんじゃないでしょうか^^」

 

ロンには確かにニコラの様な知性はない、

しかし馬鹿のあいつだからこそ発揮する物凄さがある。

 

「で、Bisonさん。私のケーニッヒはまだ?」

 

「あ、ああ、、、、、、、、、^^;」

 

「この前見せて頂いたデザイン、凄く気に入ってるんですよ」

 

「あのデザインだが、私的には完成度50%ってとこだな。

残り50%はグリップだ。

ケーニッヒはグリップ・デザインまで完成することで・・」

 

「ちょっと待ってください。

その先凄く聞きたいんですが、今ロンから呼び出しが、、、」

 

ニコラのハンズフリーフォンに若干雑音交じりではあったが、

ロンの威勢の良い声が飛び込んで来た。

 

「よう! ニコラ。例の物はゲットしたぜ。

今から脱出するからDestinyに連絡頼む!」

 

「了解。こっちからの贈り物は、4番格納庫に既に届いているはずだ」

 

「わかった! 4番だな」

 

「あまり派手にやるなよ」

 

「それは俺には無理だろ^^」

 

「好きにしろ…(^^;」

 

「ジャスティス!」

 

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※ このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。

ストーリーはフィクションであり

実在する国家・団体・企業・HP・個人等とは一切関係ありません。