団欒
巨大国家アメリカを象徴する広大なる大河ミシシッピを
夕日が真っ赤に染め上げる頃、
一台のバイクと車がマリー達をお迎えにやってきた。
BMWR1200Cモントーク に跨った男の黒の革ジャンの背には、
Barracuda(バラクーダ)のロゴが刺繍されている。
ピアーズ・ブロスナン似のちょっとダンディな彼の名は
マックス・デニーロ 。歳はロンより一つ若い34歳。
ロンと一緒に西海岸側で情報活動に付いている彼は、
ロンと交代で休暇をとって、ハマー達と一緒にキャンプに参加している。
「マリー、後ろに乗ってくか?」
子供の頃からロンに、
バイクで海や山に連れてってもらってた彼女は、
バイクの後ろに乗るのが大好きで、
「マックスありがとう」
ってほっぺに軽くキスしてリヤシートに跨った。
「じゃぁ俺はキングのザガートに乗っけてもらうか」
そういってハマーは、折り畳んだカヌーを
アストンマーチン DB7ザガート のリヤハッチを開けて収めると、
大きな肉体を助手席に詰め込んだ。
ガザードの運転席に座っているのは、
ブルース・ウィルスっぽいハゲ方をしたシブ男、
スピード・キング 。
彼も去年までマックス、ロン等と共に
Barracudaで特殊部隊として戦ってきたが、
Barracudaがその任務をDestiny(ディスティニー)に引き継いだ今、
まだ若いDestinyの闘将アドバンを補佐する為、
特殊部隊の参謀的役目を負かされている。
歳はロン達と同世代である。
一行は、下ってきたミシシッピ川の10km程上流に設営している
今回のキャンプ地に向かって沈む夕日を背に走り出した。
キャンプ地に着いた頃には完全に日は沈み、
ハマーのFORD-650に連結したキャンピングトレーラー からはタープが張り出され、
その下に用意されたベンチセットのテーブルが、
吊り下げられたランタンの明かりに照らされて、
ナイトキャンプを演出する。
マックス達が釣って来た魚が
クレイジー・ドッグの手によって料理されテーブルに並んでいる。
クレイジー・ドッグ は、
ニコラス・ケイジが高田純次になったような陽気な顔立ちで、
みんなをいつも楽しませてくれる。
「おかえりぃ~ローズ・マリーとボンレス・ハマー」
「素敵なディナーね」
「ハマーは足手まといにならなかったかい?」
「大丈夫よ」
「おっかしいなぁー ハマーのカヌーに穴開けておいたのになぁー」
マリーを囲んで楽しい夕食がはじまる。
夕食を終えると
マックス・デニーロがキャンピング・トレーラーから
アコースティック・ギターを持ってきて
マリーが大好きな曲、Stand By Me を歌ってくれた。
When the night has come
And the land is dark
And the moon is the only
Light we’ll see
(夜がやってきて あたりは真っ暗になって
ただ月だけが 私達が見ている ただひとつの光 )
No I won’t be afraid
Oh I won’t be afraid
(それでも私は 恐れたりしない 怖がることなんてしない)
Just as long as you stand
Stand by me, so
(ただあなたが私のそばに いてくれる限りは)
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※ このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり
実在する国家・団体・企業・HP・個人等とは一切関係ありません。