【File No.1】ニーナ・クイーン

 

ニーナ・クイーン

 

スピード・キングとマリー・ガーランドは、

薄汚い空気が漂う寂れた小さな街のライブハウスに居た。

 

 

この街の孤児施設に例のライブコンサートの話を相談した所、

施設出身の子達が作っているロックバンドがあると聞いて

二人はそのバンドがステージ演奏しているというこのライブハウスに足を運んでいた。

 

「なんだか、不良が一杯・・・」

 

見るからに柄の悪い、スレた女の子やトッポいお兄ちゃん達が

グラス片手にタバコを吹かしながら馴れ合っている。

 

優等生のマリーは、一人だけ見るからに浮いている。

キングはと言えば、全く違和感なくその場に溶け込んでいた。

 

「マリーは、あれだ・・・

少しはこういう場で遊び心も見につけないと

マジメ一本じゃ、人生つまんねぇ~ぞ」

 

「うん、今日はしっかり勉強していきます」

 

「勉強って・・・」

 

二人がカウンターで話している所に、いきのいいお兄ちゃんが割って入ってきた。

 

「おねえゃん、かわいいねぇ~。俺と踊らない?」

 

「誘ってくれてありがとう。だけど私、

今日は彼氏と一緒なの。ごめんなさぁ~い」

 

「彼氏ってどいつだよ?」

 

マリーは隣に腰掛けているキングの顔を指差した。

 

「こ、このおっさんが彼氏なのか?

頭ハゲかかってるぞ!

冗談はよしてくれよぉ~」

 

「誰がブルース・ウイルスにくりそつだって?」

 

キングがそいつの手首をひねり込んで、

苦痛で歪める顔のホッペをペンペンと叩いた。

 

その威圧感に圧倒されたお兄ちゃんは、

気まずそうな顔で後ずさりしてまわりの仲間に

 

「あいつ只者じゃない。ちょっかい出すんじゃないぞ」

 

と忠告を促した。

 

しばらくして、後ろのステージがざわめき出し歓声が飛びかった。

 

「ニーナ! 今日もパンチの効いたロックで俺をいかせてくれぇ~!」

 

皆が一様に口を揃えて叫ぶニーナとは、

マリーとキングが見に来たバンドのボーカルの女の子。

 

ニーナ・クイーンといって歳は17歳。

サン・ライズ・クイーンというバンド名でステージに立っている。

 

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※ このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。

ストーリーはフィクションであり

実在する国家・団体・企業・HP・個人等とは一切関係ありません。